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『建築/サウンド/パフォーマンス』

イベントの詳細情報

『建築/サウンド/パフォーマンス』
 8月14日16:00〜
 ライブパフォーマンス開催
 入場無料

■南豆製氷応援団
南豆製氷の保存と再生を応援しよう!

http://www.geocities.jp/yuebing99/

日韓友情年2005事業 Dance and Media / LIVE 2005
『建築/サウンド/パフォーマンス』 日記
8月8日〜11日 森下スタジオ
8月12日〜15日 下田・南豆製氷所跡地

毎年恒例のメディア・パフォーマンス・ワークショップ。過去2回は廃校となった小学校を使ってのワークショップでしたが、今回は「建築」というテーマもあり、大正時代に建てられた「下田・南豆製氷所」を使うことに。
この建築物の中で、サウンドとパフォーマンスなどのライブ作品を作ります。
 
6th AUG. 2005
下田・南豆製氷所跡地下見




3月にRE[ ]と写真家・黒川未来夫さんのアートイベントの記録撮影をしたときに、「ワークショップするなら今年はココで!」と思い、今夏のDMJワークショップは下田・南豆製氷所に。
ワークショップリーダーをお願いしたRE[ ] の西澤高男さんと建築家・新堀学さんにコーディネートして頂き実現。
下田市の後援や現地の南豆製氷応援団の皆さんの協力を得て、思いがけず規模の大きなイベントに!

しかも、パフォーマンス当日の14日は、『下田・太鼓まつり』の日。
これはスゴイ。小さい神輿が、たくさんつながってですね、橋みたいになる!!らしい。そんなことできるのか???夜は花火大会もあるようで、街全体が盛り上がるようです。

会場の具合を見学に下田へ。なるほど、、、結構痛んでいるというか、朽ちている。。。大正時代に職人たちが氷をガンガン作ってたわけだし、海に面しているから吹きさらっしだし、そりゃ建物も痛みます。壁を埋め尽くす伊豆石も風化。時代を感じます。
こういう建築物を改造して、オルタナティブスペースにしてオーガナイズしたら面白そうだなぁ、とひそかに思いつつ、打ち合わせ。

打ち合わせの細かい内容は割愛して、無事準備完了。
宿泊先も会場から徒歩3分というアクセスで、かなり便利。深夜まで作品作りが可能。風呂がないので、銭湯ですね。あとは参加者が作品作るのみ。
Et in terra paxの朗読パフォーマンスで使用する部屋も確認。今回は、水と氷をテーマにした朗読。せまーい冷蔵室で、渋い朗読パフォーマンス。前回の「耳なし芳一」よりも場所的な圧迫感が強い。。。狭さ、というのがいいですね。お客さんは20名くらいしか入れないかもなぁ。皆さん、早めに来て下さい。17:30スタートです。

明日は、いよいよ韓国からチャン先生とセオさんが東京へ。
7th AUG. 2005
チャン・ジェホ氏、東京に到着
  セオ・ヒョジュンさんとチャン・ジェホ先生が東京に到着。セオさんは東京28回目。なので日本語もペラペラ。チャン先生は初来日。
ランチを食べて、DMJオフィスへ。チャン先生は、今回使用するソフトウェアAC tool boxをダウンロードしたり、Max/mspでプレゼン資料を作ったりなどの作業開始。
明日は15:00からワークショップです。
8th AUG. 2005
レクチャー&ワークショップ開始




DMJ機材車「ラシーン」と森下スタジオエントランス


1日目
<イントロダクション>
場所からインスパイアされる作品についてのアプローチ。DMJ飯名が映像と資料を使って説明。なにしろ南豆製氷所に実際に言ったことあるのは、飯名だけ。記録映像と会場図面をみながら、どの場所でどういうことが出来るか、どの部屋で何をしたらおもしろいか、などをディスカッションしました。
ポストシアターのメソッドを引用して「サイト・スペシフィック」というアプローチについての事例などを挙げながら、アイディアを引き出す作業を進めます。メディア・パフォーマンス、という形式を構成する要素についてのヒントを提出。デジタル機器使うことがメディアアートという定義じゃないわけで、、、というような内容でプレゼンテーションしました。
今回の参加者のジャンルとしては、サウンド、映像、ダンサー、という感じで、それぞれで「こういうことをしてみたい」というイメージがあるような感じ。
「氷に人が入ってたらおもしろいかも」
「でもきっと死ぬよね・・・」
というようなやりとりで進行。

<チャン先生のアルゴリズム・ミュージック>
デジタルサウンド、というと、最近のソフトウェアは特に音楽的な知識がなくても、音の切り貼りでなんとなく音楽が出来上がっていきます。ところが、デジタル音楽にも「作曲法」があるわけで。。。
今回のレクチャーは、なにしろ韓国の芸大といわれる大学院の教授だけあって、レベルの高いレクチャーでした。
新しいツールが現れると、それにあわせて新しいメソッドが登場する、という事例を、バッハ、ショパン、そして現代音楽という風に楽曲を聞きながら検証。テープレコーダーの普及によって変化した作曲法とか、テルミンの演奏映像なども鑑賞。
Golan Levin(www.flong.com)の作品鑑賞などしつつ、なんじゃこりゃ系のサウンドパフォーマンスを楽しみました。
前半のレクチャーを終えると、今度は、「AC ToolBox」を使って「こういう作曲法もあるわけです」という事例を実技。Non Real Time MusicとReal Time Musicの話などなど。
すこしMAX/MSPの紹介もしつつ、本日は終了。
もちろん飲み屋へ直行。
DMJのワークショップは毎日打ち上げ状態ですが、打ち解ける場としての居酒屋、これも場所からのインスパイアか?

9th AUG. 2005
レクチャー&ワークショップ

2日目
午前中は、nest石山さんの案内でチャン先生と渋谷の楽器屋巡り。そして、オープンしたてのアップルストアへ。
ランチは、韓国人のチャン先生と日本の韓国料理。石焼きビビンバを食べた先生曰く「A-(マイナス)」という高い評価を得る。

本日のワークショップメニューは、DMJ筒井のMAX/MSP初級編。Quartz Composerについては、明日の早朝から個人指導でやることに。やはりワークショップは少人数がいいですね。MAX/MSPはインタラクティブなインスタレーションやジェネラティブなパフォーマンスを実現するには最適なソフト。
そして、夜はチャン先生2回目のレクチャー。『アルゴリズム・サウンド』。非常に本質的な提示が多く、レベルが高い。本国ではサウンド・テクノロジーの教授なわけですが、今回レクチャーした内容は来年から新しい講義ではじめるという内容らしく、かなり貴重な内容。
どういう内容だったか、というと、要するに「音楽とは何か?」ということで、人間には演奏できないことをPCにやらせる/人間ができることをPCにやらせる、という2つの考えをより深めていくと、楽器って何か?とか音って何か?、という問いに向かいます。
そうなると、デジタルであれアナログであれ、音を出す、という仕組みについて考えることにもなります。その仕組みが「音楽」だったりもするわけで、抽象的な人のイメージを音に置き換える、という作業だけでは成り立たない構成が必要。「哀しい音楽」だから短調で「楽しい音楽」は長調で、という感情的な作曲法には当てはまらない別の手法になります。
あまりPCに詳しくない人でも楽しめる「音楽についての本質的な問い」 を提示するレクチャーでした。
もちろん、今日も飲み会。
CMprocess松尾さんの「ブライアン・イーノとボブ・ディランのドラマ性について」という興味深い話を聞いて、あーなるほど、と。次回のワークショップはそういうことをテーマにしてもおもしろいかもしれないですね。

明日はセオさんのメディア・パフォーマンスのレクチャー。
そしてひたすら作品制作!
10th AUG. 2005
レクチャー&ワークショップ





ディスカッションの様子
3日目
さて、今日から参加者による作品制作ディスカッション開始。ネタ出しです。
パフォーマンス作品にするのか、インスタレーション作品にするのか、両方の要素を出すのか、など、まったくの白紙の状態からスタート。
参加者だけで作品を作る、というプロセスが重要なこのイベント。DMJはあまり手出ししません。機材のことやテクニカルな質問の対応のみを受け持つので、あとは好きにやってください。
会場図面を見ながら、何が設置できて、どんな機材で対応できるのか。このアイディアは本当におもしろいのか、などなど。
覗き込まないと映像が見えない仕組みとか、音の反響する部屋としない部屋を作為的に作る、とか。

夜は、セオさんの「メディア・パフォーマンス」レクチャー。ISADORAを使ったメディアパフォーマンスのイントロダクションです。
なんでMAX/MSPではなくISADORAを使うのか?
MAX/MSPだと、プログラムに関する作業に向かいがちでアーティスティックな発想が後になってしまうことも多いです。パッチの組み方の部分で作業が煮詰まってしまうこともあります。そういうときに、ISADORAを使って、まず自分がやりたいことを簡易的に実現して実験してみる。そこから、その効果について考えてみる、ということが可能です。
この効果はこの作品に本当に必要なのか、とか、例えばこうしてみたら?という時のスムーズな作業が可能になるわけですね。
無料版はパッチの保存が出来ませんが、全部の機能が使えますので、お試しくださいませ。

作品制作の意見はまだまとまらず、明日に持ち越し。
まとめる必要はないんですよね、本当は。ワークショップなので、やってみたいことをやってみて、「ああ、こりゃ失敗だったなー」という経験をいかに多く積むか。実際の作品だったら、失敗は許されないわけですから、いろいろな実験のできるこういった場を利用して、モノを作ることに慣れる必要があります。概念や理想だけでなく。
明日のディスカッションが非常に楽しみです。

12th-15th AUG. 2005
いよいよ下田へ



新堀学氏の案内で会場見学

新堀学氏の案内で会場見学

製氷所の掃除開始

外でミーティング
バーベキュー&レクチャー

下田・太鼓祭り

下田・太鼓祭り

チャン・ジェホ先生


帰りのバスを待つ
12日
朝7時に新宿集合で、マイクロバスに乗り込み移動。予算の都合上、小さいバスを予約したはずが、「大きいのでもいいですか?」とのことでずいぶんと立派な2階建て観光バスが到着。

なんやかんやと午後に下田到着。まずは新堀氏の案内で会場となる製氷所を見学。各部屋と電源の位置などを確認しつつ、一気に掃除開始です。
チャン先生もセオ先生もマスク&ほうきで掃除に参加。

会場もきれいになったし、ということで、さあ休憩だー、と、宿泊先に移動。
宿泊先は、もともと旅館だった「阿波屋いっぷく堂」。ところが、やっぱり使ってない家というのは色々と問題が。。。畳のカビと埃・・・。
近くのスーパーで洗剤とダニ取りと雑巾を買ってきて、掃除第2弾。
もちろん、 チャン先生もセオ先生もマスク&雑巾で掃除に参加。

夜は飲み会。

■13日
いよいよ作品制作開始。参加者はそれぞれの部屋で創作。会場そのものがおもしろいので、森下スタジオで考えた内容もアレンジが必要になってきたり、あーだこーだと皆悩みはじめる。
軽い夕立があがったので、製氷所の外にホワイトボードを出して、ミーティング。

夜は、RE[ ]所有の七輪でバーベキュー。さすが下田。魚が美味い。
ほろ酔い気分で、RE[ ] 西澤先生のレクチャー&プレゼンテーション。建築とメディアアートの作品事例をいろいろと見せてもらい非常に貴重な内容でした。
レクチャー終了後作品制作。徹夜作業の人も何名か。。。

■14日
さて今日は本番。15時までに完成させて、16時から開始。もちろんドタバタと進みます。
容量オーバーなのか、不安定なのか、ブレーカーが何度か落ちたり、ケーブルが足りなくなったりなどいろいろと問題は起きます。問題がないと意外と物足りないので、ちょうどいいくらいかなぁ、と。

製氷所の前ではカキ氷や伊豆石の器などいろいろと出店もあって、お祭りっぽくなってきた。しかも今日は「下田・太鼓祭り」の日でもあって、町全体がお祭り。

さて、16時。作品発表です。
参加者の作品も結構実験的でおもしろい。
この手のメディアアート&パフォーマンスのワークショップというのは、どうしてもプログラミングだけで終わってしまうことが多いのですが、場所が製氷所ということもあって、いろんなアクションが実際の起こる作品が多い。
真っ暗な冷蔵室に入ると鏡がたくさんつるされていて、中に入ると、プロジェクターの映像が鏡に反射しまくって、部屋中に映像が走り回る。
「あーおもしろかったー」と地元の子供が冷蔵室から飛び出して来ました。

狭い冷蔵室2部屋を使ってのダンスパフォーマンス。同時に2部屋見られないので、こっちみたりあっちみたり。しかも小さいドアから覗き込むように鑑賞するので、同時に5名ほどしか見られない。

下田の町を練り歩き短いドキュメンタリー映像を作成した作品。なぜか、地元の人しか普通行かないだろう祭り控え室の町内会映像などが・・・。うろうろとビデオを持って取材しているとビールをもらったり、食べ物をもらったりするらしく、「この撮影でビール3本はもらったよ」と参加者。

RE[ ]作品の「Ice Pool」というインスタレーションと同じ会場で、通路を歩くと壁一面に映像が映写される作品も展示。通路を通らないと何も起こらないのですが、歩いていくと水の流れるようなキレイな映像が古い伊豆石の壁や通路に広がる作品。

セオ先生の作品も登場。地元の人も知らなかった一番奥の冷蔵室を使ってのメディア・インスタレーション。そこにあるものだけを使って、シンプルなデザインですが、さすがプロ。完成度が高い。。。
ゲストパフォーマンスはEt in terra paxの朗読、松本充明氏のサウンドライブ。

いろいろな部屋があるこの製氷所で、地元のお客さんはうろうろしながら鑑賞。中はもちろん暑いので、たまに外に出てカキ氷を食べる、という具合です。
なかなかおもしろい発表会で、下田まで来た甲斐があった!

夜は祭り見学&バーベキュー。そして、外で感想会。チャン先生に感想を求めると「恥ずかしいから短めに・・・」とのこと。どうやら人前で話すのが恥ずかしいらしい。。。教授なのに。。。


■15日
発表会も終わり、後片付け。午後まで自由時間なので、海水浴に行く人、祭りを見る人、寝てる人などなど。
帰りもバス。もちろん予算がないので、小さいマイクロバスをレンタル。のはずが、「すみません、大きいバスでもよいでしょうか?」とのこと。帰りも大きな観光バスでゆったり帰宅。
 
16th AUG. 2005
チャン先生帰国
  ワークショップリーダーのチャン先生が帰国。帰国前に銀座で観光。 まだ東京に残るセオ先生とnestの石山氏とランチ。

チャン先生「とてもおもしろいワークショップでした。掃除とか掃除とか掃除とか…(笑)」

というわけで、お疲れさまでした。