danc(E)motion
2005/3/10〜13

公式サイト:www.dancemotion.or.id 

会場:インドネシア・ジャカルタ
Gedung Kesenian Jakarta

オーガナイズ:Tari Indonesia

danc(E)motion Dance on Screen Festival
インドネシアではじめての「ダンスフィルム・フェスティバル」。
このフェスティバルは、ダンスフィルムの発展と情報の共有のために開催されました。


参加国:Indonesia, Australia, Malaysia, Philippines, Singapore, Hong Kong, Canada, Germany,Japan, Norway, Iceland, Sweden, Finland, Denmark, Italy, Israel, The Netherlands, United Kingdom, Greece, USA.


『15 pieces are p to p.』
ニシモトタロウ



『空をみる。』 
4+ -pj

『Dry flower』 
高橋啓祐(Nibroll)







『Street Car』

『Exodus - Woman on the run』

『Of Lilies, How They Grow』  
インドネシアで初めてのダンスに関する映像祭、とのことで、DMJに作品出品とプレゼンテーションの依頼を頂きました。オーガナイザーは、TARI Indonesiaというダンス・カンパニー。ディレクターは、振付家でもあるチャンドラ氏。

会場となったのは、Gedung Kesenian Jakartaという立派な劇場で、歴史も古いそうです。


3日間のフェスティバルの内容は、以下のような具合。

▽海外からの招待作品の上映
オーストラリア、カナダ、ドイツ、中国、日本、シンガポール、マレーシア、ギリシャ、北欧、イスラエル、イタリアなど
▽インドネシア国内の作品
(10作品 コンペティションの実施)
▽フォーラム
オーストラリアのダンス映像について 
 by Dr.Erin Brannigan(オーストラリアReelDance)
メディアアートとダンス・パフォーマンスについて 
 by Naoto IINA (日本 Dance and Media Japan)
▽ディスカッション 
「ダンスと映像の関係」

日本からは、次の3作品を出品しました。
 『Dry flower』 高橋啓祐(Nibroll)
 『15 pieces are p to p.』 ニシモトタロウ
 『空をみる。』 4+ -pj

<ドラが鳴る>

劇場のエントランスにドラが置いてあって、劇場の人が
ゴーンと鳴らすと上映開始。
インドネシアにきたー、という感じですね。


<面白かった作品のこと>

『Burst』 
Iceland ,2003, 5 min
Director : Reynil Lyngdal
Choreographer : Katrin Hall
Producer : Anna Dis Olafsdottir, Jon Thor Hannesson
Performer : Kata Johnson, Elias Knudsen
Produced by : Saga Film


男女がベッドで寝ていると、蛇口の閉め忘れか、ぴちゃぴちゃと水滴の音。イライラして目が覚めて、そのイライラ解消のためか、ベッド上で喧嘩スタート。香港のワイヤーアクションばりのアクロバティックな動きで、蹴ったり、よけたり、飛んでいったり、スローモーションになったり。最後は部屋が大洪水で、なんと二人とも・・・。
題材は、漫画だそうで、映像のカット割も完璧。



『Exodus - Woman on the run』
Singapore Indonesia, 2003, 29 min
Director : Sherman Ong
Choreographer : Chendra Effendy
Producer : Helly Minarty
Performer : Nungki Kusumastuti, Mira Tedja, Syahrial ,
Tuty Alawiyah, QQ
Cinematographer : Ketut Trisna Pramana


サスペンス!火曜サスペンス!
伝統舞踊をならう女の子のお話。先生である女性ダンサーとバックミュージシャンが出来ていて、毎晩先生の家にバックミュージシャンの男が夜這いに。その光景を女の子は覗き見してて、エロティックな自慰的ダンスを開始。次の日は、また普段の通り伝統舞踊を教えてもらい、その晩も覗き見。ある夜、女の子が先生に変装して先生の部屋で男を待っていると、案の定、男がやってきます。変装に驚くこともなく、抱きあったりするんですが、女の子が男を殺しちゃいます。しかも、その女の先生と。二人で死体を引きずって、隠します。ということは、つまりグル???しかも、レズ???というようなお話。映画的な物語展開とアングルは、何しろ完成度が高いです。
踊りも伝統舞踊とコンテンポラリーダンスのミックスで、良い感じです。



『Street Car』

Canada,
Director/Producer : Nick de Pencier
Choreographer : Peter Chin
Director of Photography : PETER CHIN and GARNET WILLIS
Editor : ROLAND SCLIMME.
Performer : Peter Chin, Tom Brouillette, Yves Candau,
Marie-Josee Chartier, Khaterine Duncason, Mark Jhonson,
Benjamin Kamino, Bonnie Kim, Noubu Kabota, Yvone Ng, Ian Orr,
Heidi Staus.


なにしろ独特な映像空間です。
病院でおそらく何かの病気を告げられて、ちょっとがっかりの主人公の男(Peter Chin)。
乗合バスで帰るのですが、そのバスの乗客たちがなんとなく変な人ばかり。これは観て頂かないと、伝えられない作品・・・。シュールというのか、ナゾだらけ、というか。
ちょっと変なテンションで、Peter Chinの踊りも不思議。
舞台作品では実現しない映像独自の見せ方が実現している作品だと思います。必見。



<インドネシア作品のコンペティション>


10作品程度を見せていただき、作品の審査を頼まれました。審査員って話を聞いていなかったけども、、、パンフをみたら審査員のプロフィールに僕の名前が・・・。
全体の印象としては、映像の技術はまだ低いのかもしれませんが、ダンサーと映像作家がしっかりコラボレーションしている、ということが伝わってきました。

『Tamansari Mongso Rendheng』

Director : Agus Yuniarso
Choreographer : Hendro Martono, Bagawan Ciptoning
Producer : Agus Yuniarso, Hendro Martono, Bagawan Ciptoning


80分の作品。長いなぁ・・・と思ってましたが、観てみると、ずーっと観ていられる夢のような幻想的なつくり。ディレクターは、現地のTV向けドキュメンタリー映像など作っている人。記録映像風だったり、映像のコラージュだったり、多少雑なところもあったりするんですが、時間がゆったり流れているもわーっと感じが映像から感じられます。



『Of Lilies, How They Grow』
Jakarta 2004 ; 48 min
Director /Producer : Katia Engel, Faozan Rizal
Choreographer/Performer : Katia Engel

ドイツ人女流舞踏家とジャカルタの映像作家のコラボレーション。舞踏家は日本で大野一雄氏の稽古場に通っていたそうで、一番最初のシーンが不思議。お面をつけたダンサーが、水辺で立ってるだけなんですが、手足が異常に長い。動かないので人形かと思ってると、人だった。。。全体で4シーンくらいしかない長回しの作品なんですが、アンビエントミュージックのような静かなミニマリズムがあって、不思議。それぞれのカットが絵画的な構図で、インスタレーションのようです。最終的に、上記2作品を含む3作品を選びました。

審査員は、アメリカ人でバリ在住のプロデューサー、Rhoda Grauer。彼女の製作したドキュメンタリー作品『Mask Magic』はTVドキュメンタリーでしたが、非常に面白い。ジャワのIbu Rasinahという女性で高齢の舞踊家を追っかけた作品。途中で、教え子の14歳くらいの女の子に、「私の後継ぎになれ」と誘う部分がすごい。「もし、私のようになりたければ、すべてを教えてあげる。そのために1日断食するのと3日寝ないの、どっちか選べ」。
要するに、精神力を鍛えなさい、ということらしい。
Ibu Rasinahの踊りは、おばあさんなのにキュート。踊っている姿は少女のようです。


Dr. Erin Brannigan は、オーストラリアのダンスビデオ組織「ReelDance」のキュレーター。持ってる作品のクオリティーが高い。話を聞くと、「オーストラリアは、助成金で作品を作れるから、自主製作は少ないわよ」とのこと。どの作品もminiDVの画質じゃなかったです・・・。
それと、会場となった劇場のディレクター、Marusya Nainggolan。
あとは、Dance and Media Japanの飯名。
4人で意見出し合いながら、審査。



<ディスカッションでの議論>


朝10時から劇場でディスカッション。テンション高い。参加したのは、審査員と作品出品者などなど。議論は「何をダンスフィルムとするのか?」ということ。つまり、ダンスしてる映像ならダンスフィルムなの?とか、ドキュメンタリーもダンスフィルムとするの?とか。
これは、非常に難しい問題で、DMJ内部でも度々問題となります。
DMJでは、「ダンスをモチーフにした映像作品」という幅広い意味でダンスビデオを考えていますが、今回のジャカルタでの上映会で一つ思ったことは、「ダンスフィルム」という言葉を使っていること。たしかに、映画的で、物語(お話)の展開も持っている作品が多かったかもしれない。
日本の場合、映画的な物語のあるダンス映像よりも、よりイメージ的な作品が多い印象があります。もっと物語に起伏のある、ドラマのある作品があってもいいのかもなぁ、と、思ってディスカッションに参加してました。



<そういうわけで・・・>


それ以外にもいろいろとジャカルタ市内を見てまわったり、大学生から卒論研究のための取材を受けたりクラブで遊んだり、としてきましたが、ダンス映像を各国のオーガナイザーが連携して配給しあう、ということで、みたことのない海外のダンスを知ることができます。これはすごいこと。
DMJの今後は、オーストラリアとの連携もできそうだし、昨年に引き続き韓国での上映会も予定しています。
ギリシャの上映会もあるようですし、年末には日本でも
DMJ主催の上映会を予定してます。