REPORT
post theater




[LINK]

ワークショップページ
『適者生存』



ポストシアター(日本語サイト)
http://tokyo.posttheater.com/


ポストシアター 通信講座 『適者生存』 
舞台芸術制作におけるアイデア・ディベロップメントとクリエイティブ・プロセスを育成するオンラインワークショップ

ワークショップ・レポート
飯名尚人 (Dance and Media Japan)
2007年3月20日
第4回 最終プレゼン大会
はい、第4回目。第3回目のレポートは書くのサボってしまった。どうもすみません。

最終日の4日目は、実際に、ポストシアターが東京に来ました。
そうなるとオンラインじゃないじゃん!という感じですが。(写真)。

参加者のプランを一人30分でプレゼン。それに対して、ポストシアターのマックスから、「プレゼンの仕方」とか「内容に関するツッコミ」を入れてもらう。コンセプトと実際のパフォーマンス案の整合性とか、いろいろな部分で再検討が必要になるわけです。
今回、最終日を終えて、オンラインでやる意味、というのを考えてみました。要するに「対話の回数を増やす」ためのツール、ということかな、と。ワークショップの多くは、連続2日間、とか時間の制約が多い。アイディアを持ち寄って、参加者主体で進める場合、「考える時間」「人と対話する時間」が多ければ多いほど、練りこまれた企画になります。反対意見が出たり、もっと良いヒントが得られたりします。今回は、1ヶ月に1度のペースでオンラインでワークショップをしてきて、ビデオチャットなので、何しろ言葉で伝えないと伝わらない。なので、言葉でアイディアを整理していく時間も必要になる。ダンスでも、演劇でも、音楽でも、映像でも、なんでもそうですが、作り手のコンセプトは、作り手に聞くのが一番早い。良い作品を観たときに、アーティストを捕まえて作品の理由を聞く事もあります。そのときにアーティストから「いやー、なんかテキトーにPCいじってたら、出来ちゃったんですよー」的な発言には、なんだかガッカリだ。。。作り手がなぜその作品を作って発表したのか、という意味は、こういう作品作りの中に隠されているものです。勢いだけで舞台を踏んで「面白かったねー」だけでは、作品の展開が期待できません。もちろん、勢いも重要ですけど。
できれば、最後に、その作品を実際に上演する、ということまで出来ると面白いですね。今回は、プロセスに重きを置いたので、プレゼンテーションでおしまい。
次回は、また違ったアプローチでオンライン・ワークショップをしますので、お楽しみに。

2006年12月22日
第2回 アイディアを実現させるための大きな壁
はい、第2回目です。ベルリン、大阪、東京の3箇所が繋がりました!こんな感じです(写真)。音声も良好。

今回も、まずそれぞれのアイディアの発表からスタート。ちょっとずつブラッシュアップされていくアイディアが面白いです。いろいろなアイディア出しやアドヴァイスなどがあって、今日も宿題が出ます。
このワークショップでは、演出プランやシナリオを作り上げていくわけですが、具体性が問われます。もちろん、アイディアの段階では、実現可能性は後回しですが、いざそのプランを実行する段階になると、様々な問題が生じます。会場はどこにすればいいか、とか、スケジュールはどうすればいいか、出演者はだれか、どんな機材が必要か、そもそも全部でどのくらいの予算がかかるのか!?とか。そうなると、突然アイディアが縮小されてくるわけですが、かといって、出来ることというのは意外と多いわけです。

今回の宿題は、今のプランを実現させるためのコストのことなどを盛り込んだアイディアを考えてくること。アイディアはおもしろけど、実現できないよねー、では机上の空論。このワークショップの意味がない。本気で作品作るために進めているわけなので、客観的な姿勢も必要です。
次回はもっと現実的なプランになっていると思うと、わくわくしますねぇ。


2006年12月7日
第1回 さて、上手くいったでしょうか?
さて、いよいよ第1回目の開催です。
まず、ベルリンと東京と大阪で、ビデオチャットを使ってワークショップをする、というのが今回のワークショップの「売り」です。
まず、なぜか東京と大阪が原因不明ですが、繋がらず。国内なのに。そこで、今回は東京とベルリンのみで開催ということに。残念。次回に期待。

左の写真をご覧下さい。画面にはベルリンのマックス・シューマッハ。この状態で、ワークショップが進行します。

参加者の皆さんには、事前にワークショップシート、というのを配布してあって、そこに「今あなたが考えているアイディア」を書き込みます。重要なのは最終的な形式にこだわらない、ということ。アイディアが演劇になるかもしれないし、映画になるかもしれない。インスタレーションかもしれない。むしろ、アイディアにあった形式を選んでいけばいいだけ、というわけです。



まず、参加者のアイディアを10分間でプレゼンしてもらいます。英語ができる人は英語のまま。その次に、英語でプレゼンした人は、自分で日本語に翻訳して、他の参加者に伝えます。自分のアイディアを明確にすること、がここでの目的です。

「まず、あなたのアイディアを明確する、ということが大切です。そのときに、翻訳、ということをします。たとえば、英語でプレゼンしてもらったら自分で日本語に翻訳して言い換えます。これは翻訳ですね。それ以外にも、ビデオチャットの画面の中の僕にプレゼンするときと、実際に隣にいる人にプレゼンするときも、自分の中で翻訳があるはずです。もっと言えば、頭の中でひとりで考えているときと、こうやって言葉に置き換えてアイディアを伝えるときも、イメージから言葉への翻訳があります。翻訳する機会が多ければ多いほど、いろいろなことに気がつきます。アイディアも明確になるし、もっと色々な情報が得られます。」とマックスからのアドヴァイス。

まずは、アイディアを明確にして、ここに参加する人も他の人のアイディアを聞き、考える。お互いが情報を提供しあう、という方法でワークショップが進みます。ポストシアターのサーバには、参加者が素材となる情報をアップロードして、共有していくという作業もします。

というわけで、第1回目は成功。東京=ベルリン間だと、音声がちょっと途切れたりして、聞きにくいことがありますが、それは専用回線じゃないから仕方ない。画像はきれいでしたけど。
ちなみに、このワークショップでは、マックの「ichat AV」を使ってます。Yahooメッセンジャー、Skypeもテストしてみましたが、「ichat AV」が一番安定していました。東京、大阪、ベルリンと3つを同時に接続するときは、ホストとなるコンピュータのスペックがG5でないといけません。それでも、最大4名まで。音声だけだったら10名までいけるそうですが、やっぱり顔が見えた方がいいですね。
というわけで、また次回!





2006年9月1日
ベルリンと東京がリアルタイムにリンクするワークショップ説明会
2006年8月30日、ポストシアターワークショップ『適者生存』説明会が開催された。
ポストシアターは、昨年より東京オフィスをオープンさせて、日本での活動を積極的にしていく方針だ。
とはいっても、年間10ヶ月以上は各国でのパフォーマンスやレジデンスなどで多忙のメンバーを日本に拘束させるのも不経済だ。なぜならば、日本からはどこに行くにも飛行機で移動しなければならないし、リハーサルスタジオや開発のためのアトリエもその家賃だけでクビが回らない。ベルリン事務所は広いし、近隣国への移動もわりと楽だ。
しかし日本の観客に見せたい作品はいくつもある。そのためには、東京オフィスの活動ももっと活発にしていかなくてはならないのだ。

もっとインターネットを使おう

そこで思いついたのが、ビデオチャット。もちろん、できればポストシアターに来日してもらい、ワークショップをするのがいいのだが、そうそう簡単に予算も作れない。仕方ない、ビデオチャットだ、というのが今回のきっかけ。最近は英会話とかもビデオチャットやテレビ電話で行われている。大学機関でも遠隔授業には力を入れ始めている。大学での遠隔授業は、出席率のカウントがしにくい、という理由でなかなか実現していないようだし、規模が大きくなるため予算もかかる。しかし、小規模のコミュニケーションツールとしては、インターネットによる国際電話やビデオチャットは十分な利用価値がある。


ベルリンと東京で、顔を見て話す

「では、ベルリンのポストシアターを呼んでみましょう」ということで、TVモニターに登場したのは、マックス・シューマッハーと棚橋洋子。ベルリンは昼の12時、東京は夜20時だ。
マックスによる今回のワークショップ 『適者生存』のコンセプトの解説がスタートした。なにしろ奇妙な体験だ。ベルリンと東京で、レクチャーしたりディスカッションしたり、しかも小規模でローコストで出来てしまう。各国のアーティストとこうしたツールを使って繋がっていくことは、今後もっと当たり前のことになるだろう。顔を見て話すことで、相手のことを考えて、敬意を払ってコミュニケーションをすることができる。

説明会でのレクチャーの内容は、新作の『Figure 8 Race』を例に、どのような物語で、どのような背景があり、さらに実際の演出としてどのようなビジュアル化がされていったか。
ポストシアターの作品がメディアアート寄りでも、演劇寄りでもない、まったく新しい基盤で作られていることが分かる。


必要なものを使う、という方法論

ポストシアターは映像を使った作品が多い印象もあるが、実際はそんなことはない。非常にアナログな作品も多いし、インスタレーションなどもある。
「この技術を使いたいがために、作品を考える」ということはなく、「この世界を表現したいから、この技術が適しているのでないか?」というテクノロジーの使い方をしていく。なので、「物語」がきっちり存在していて、アーティスト側から観客へのしっかりとした「見せ所」が用意されている。それは、アーティストが観客にすべき「サービス」だ。この「サービス」のない作品には、観客はお金を払いたくないだろう。ポストシアターの作品を観て、「最悪だ、つまらない」と思う人はほとんどいないだろう。ミクスト・メディアというカテゴリーで行き詰っている人や絶対的に新しい体験を舞台に求めている人には、ポストシアターを是非一度は体験して欲しい。そうした作品を作っているポストシアターのメンバーとビデオチャットとはいえ、直接対話できるワークショップは刺激的だ。


とはいうものの、ビデオチャットが目的ではない。

ビデオチャットしたいから、ワークショップをするわけではない。今回のワークショップのテーマは、「自分の脳みその中にあるアイディアを作品化するためのプロセスを徹底的に考える」ということだ。もっと簡単に言えば、「どうやったら面白い作品になるか」だ。
そのためには、いろいろなリサーチや実験が必要になるだろう。いろいろな人とのディスカッションも必要になるかもしれない。今回のワークショップでは、物事の考え方、アイディアの選択の仕方など、ドラマツゥルクという仕事のノウハウを体験できるだろう。


『6 Feet Deeper』も鑑賞

ベルリンとのビデオチャットも無事に終了し(途中、東京オフィスでゴキブリが発生するというアクシデントがあったものの・・・)、昨年11月に日本で上演された『6 Feet Deeper』を鑑賞した。
その後も参加者との雑談が続き、23時までいろいろな話をした。参加して頂いた皆さんと、いろいろな情報交換ができるのは重要なことだ。
ワークショップは12月からスタートするが、オンライン・ワークショップの可能性を知ることのできる説明会となった。