東京造形大学 映画・映像専攻

ZOKEIワークショップ 2018
ビデオダンスワークショップ

会場:東京造形大学
2018年8月20日(月) 13:00 - 16:00
 

ビデオダンス・ワークショップ・レポート
テキスト:川上知来(東京造形大学 映画専攻助手)
 





 
 
 



 





 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
2018年8月20日(月)東京造形大学にて開催された「ZOKEIワークショップ2018」のプログラムとして、飯名尚人先生によるビデオダンス・ワークショップが行われました。今回は「スローモーションにすると見えてくる動き」をテーマに、〈撮影→編集ソフトを使用するスローモーション映像制作→映像展示〉という流れを通して体験するワークショップです。

まずは導入として、参加者の方々にA4のコピー用紙が配られました。
紙が落ちるときの動きをよく見てみます。紙の落ち方にも様々な動きがあります。空気と上手く絡まりながらきれいに回転しながら落ちるときもあれば、空気に乗れないままベチャっと地面に落ちるときもあります。では、どのように落とすと見ておもしろいと感じられる動きが生まれるのか、それを探ることから始まりました。
 
 
 
 
 

<動きを発見していく>


先程の紙のワークで探った感覚を頼りに、二人一組になり、会場内にあるものを自由に使っておもしろい動きの発見を目指します。
スローモーションでじっくり見るとおもしろくなりそうな動きとは何か。話し合いながら思いつくままに試して、それをiPhone等でどんどん撮影していきます。
この二人組は、皺くちゃにした銀の紙を、身体を使って宙に上げる様子を撮影しています。勢いよく宙を舞う銀の紙の動き、皺くちゃにしたことで反射する光の動き、身体の動き、様々な要素が合わさりながらおもしろい動きが生まれる予感がします。
 

高いところから複数のテニスボールが同時に落ち、地面にバウンドする様子を撮影しています。ボールが少しずつズレて地面に落ちていく動き、少しズレたタイミングで勢いよくバウンドしながらカメラの方へ近づいて来る動きがおもしろく見えそうです。
 
一人が椅子の上からジャンプする、そこめがけて下から網を投げる。カメラは、網が空中で広がる動きと、その向こうから大の字ポーズで飛んで来る人の動き、そして両者がぶつかるときの動きを捉えています。いったいどのように見えるのでしょうか、楽しみです。
 
先ほどテニスボールが落ちる様子を撮影していた二人組が、今度はスライムに複数のスーパーボールを落としています。カラフルな色のものたちに、それぞれの動きがあり、中でもスライムが衝撃を受けて変形する動きがおもしろく見えそうです。
 
 
 
 

 <スローモーション撮影〜編集>

 
今度は、ミラーレスデジタルカメラを用いた撮影で、動きを捉えていきます。
三脚に据えられたカメラの前に、参加者の方が一人ずつ立ち、そこで自由に動いてもらいます。
 
 
全員が好きな布を持ちながら、扇風機の風を受けて自由に動くのですが、ここでも意識するのは、どうしたらおもしろい動きが生まれるかです。風になびく布の動きと、布を支える身体の動き。先ほどのiPhoneでの撮影のときに探った感覚を応用させた、より身体的な動きとしての実践です。カメラの前で動く人だけではなく、カメラの後ろで見ている人たちがいかに動きを捉えられるかも重要になります。
 
 
 
 
 

その後、カメラの手持ち撮影バージョンとして、身体のみの動きを使った実践も行いました。
撮る人と撮られる人、互いに相手がどのように動くのか分からない状況で、影響を受け合いながら動かなければなりません。撮る人は、相手のアクロバットな動きに喰らい付きながら、時にふっと引きながらカメラを回し、引かれると今度は撮られる人がカメラに向かってリアクションを起こす、そのような場面が生まれておもしろい撮影になりました。
さて、撮れた映像はどのような映像になったのでしょう、楽しみです。ここで撮影は終了になり、編集作業に移ります。
 
 
撮影会場から、編集室に移動しました。編集ソフト(adobe premiere pro CC 2018)を使って、先ほど撮影した映像をスローモーションにして書き出します。編集ソフトを使ったことがない方も、飯名さんの説明を聞ききながらスムーズにスローモーションに書き出せました。スローモーションにしてみると、布が風になびくときのうねるような複雑な動きの機微を、より細かく見て取ることができます。うねるような複雑な動きの中から、滑らかで繊細な動きが浮かび上がってきました。
 
 
 
 

<映像を展示する 映像と音楽>

 
次はいよいよ映像展示です。
展示会場に移動しました。
先ほどスローモーションに編集した映像を二つ同時に映写しています。普段は教室として使われている空間も、壁一面に大きく映像を映すことで展示の空間へと変貌しました。
 

ここでは、パソコンを使った映像のオペレートと、DJセット(アナログレコードによるDJ)を使った音楽のオペレートを同時に体験しながら、音と映像の即興的なセッションをおこない更に空間を立ち上げていきます。Isadora(イサドラ)というソフトを使って、映像をリアルタイムにコントロールしていきます。映像が持つスローモーションにすると見えてくる動きに対して、音楽をどのような動きとしてぶつけるといいのか、あるいは寄り添わせるといいのか。逆に音楽が持つ動きに対して、どの映像を流すといいのだろうか。その駆け引きが空間を作っていきます。
いきなりやったDJで場を盛り上げて周りから「お~」と声を出させた方もいれば、突然二つの映像をオーバーラップで重ね始めてより複数のものが織り成す動きの面白さを発見した方もいました。参加者の方々のオペレートする目つきが次第に少しづつ変わっていく様子がとても印象的でした。
 
 
短い時間の中でも、撮影、編集、展示という流れを通して体験することで「スローモーションにすると見えてくる動き」をめぐる様々な実験が行われた、凝縮された時間でした。

東京造形大学 映画・映像専攻

ZOKEIワークショップ 2018
ビデオダンスワークショップ

参加費:無料(事前予約制)
会場:東京造形大学

 
2018年8月20日(月) 13:00 - 16:00
 
身体を被写体にしながらの、映像に関するワークショップです。
身体とカメラで瞬間をキャッチ。「スローモーション」をキーワードに撮影、映写を行います。
撮影、照明、編集、プロジェクター映写までの一連の流れを体験します。
 
参加対象 [定員12名]
高校生、大学生、一般(経験・スキル不問です。)
・映像と、演劇やダンスを同時に考えたい人
・映像に興味のある舞台の人
・舞台に興味のある映像の人
・映像を授業に取り入れることを検討している教員・指導者のみなさん
 
講師:飯名尚人(東京造形大学 特任教授)
東京造形大学 映画・映像専攻では、本年度より「ビデオダンス演習」「映像身体演習」「クリエティブ・カウンセリングⅠ(身体感覚エクササイズ)」など、身体と映像を同時に模索する授業が新設されました。また「国際ダンス映画祭2018-2019」は、東京造形大学とDance and Media Japanとの協働で開催し、現在、巡回上映会(神戸、松山、岡山、仙台など)を実施。2019年3月2日・3日はスパイラルホール(東京)にて、「国際ダンス映画祭2019」と「国際学生ビデオダンス・クリエイション」を同時開催します。
国際ダンス映画祭2019
国際学生ビデオダンス・クリエイション
 
会場・行き方
東京造形大学への行き方
 
 
 

参加申し込み方法:
メールにてお申し込みください。
 
メール office@dance-media.com
件名を「ZOKEIワークショップ申し込み」とし、以下の情報をお送りください。
① 名前
② 年齢
③ 所属・肩書き(記入例:フリーランスの俳優・ダンサー・映像作家・・・)
④ メールアドレス

 
 
ご参加お待ちしております!
 
 
主催:東京造形大学

 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
過去のビデオダンスワークショップの様子
 
寺院を会場に4面プロジェクションとダンスの公演(「ASYL」弘前・専求院)
 
北京にて「映像・演劇ワークショップ」講師:飯名尚人