各々が、物語に奉仕する  京都・永運院リハーサルの後、アジールについて。 2011年初演の会場でもある永運院でのリハーサルを終え、 これまでのアジールを振り返りながら、新しいアジールについて語る。  2017.7.4 京都にて


17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 寺田みさこ(振付・ダンス)
17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg 今村達紀(出演)
20170324_150736957.jpg 飯名尚人(演出・映像・音響・照明・美術)

制作:樫村千佳


0. リハーサルの後、喫茶店で

20170324_150736957.jpg みさこさんが京都の街を走り回ってる映像。あの撮影はおもしろかったですね。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 普段、ぜんぜん走らないんですよ、私。運動不足で(笑)。

20170324_150736957.jpg ダンスって体力いるじゃないですか?

17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg 走るのとダンスは違いますよねぇ。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 私は運動音痴なんですよ。褒められたのは、ハードル走だけ。「形が優雅」って(笑)。


  各々が、物語に奉仕する  京都・永運院リハーサルの後、アジールについて。 2011年初演の会場でもある永運院でのリハーサルを終え、 これまでのアジールを振り返りながら、新しいアジールについて語る。  2017.7.4 京都にて

1. ことの始まり

17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg 初演のクリエイションの時の話ですが、2011年、当時、奥田さん(京都のダンススタジオのオーナー)が持っていたスタジオが京都にあって、そこでアジールのクリエイションとショーイングをするということになって、僕は奥田さんから「こういう公演するから手伝いにきなさい」という感じでスタジオの管理を兼ねて手伝いに行ってたんです。障子を動かしたりするだけなんで、黒衣の役で。「衣装は用意したほうがいいですか?」って聞いたら、飯名さんが「黒衣はバサラ(*1)なんだ」って言いだして、それでポマードつけて派手な格好させられて(笑)。なので初演の時は友情出演だった。でもセリフもあるし、僕が出るシーンも多くなってきて、いつの間にか出演に。なりゆきなんです(笑)。

20170324_150736957.jpg もともとは舞台監督で来たんだもんね(笑)。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 飯名さんの話を聞いたりとか、布咏さんのセリフとか、そういうものはもちろんあるのだけど、そもそもこの作品はリハーサルの回数が少ないですよね。現場で作るというときに、飯名さんがぐっと短い時間でイメージを膨らませて作っているんでしょうね。達っちゃん(今村達紀)が、そこに立ち会ってしまったから、物語の中に自然に入ってしまった、という感じですよね。↗︎



20170324_150736957.jpg そうかもしれない。達ちゃんとは、ご飯も一緒にたべて、夜は一緒に銭湯に行き・・・毎日一緒に行動してたもんね。達っちゃんは、なんかわからんけども、僕に連れまわされてる(笑)。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 役柄的にもそうなってるよね、いろいろやらされてる(笑)。自然に入っていった感じ。

17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg あのとき飯名さんは、スタジオで暮らしてましたよね。

20170324_150736957.jpg そう、リノと鏡張りのスタジオに簡易ベッドおいて、あそこに住んでた。スタジオなんで、いろんな人が練習に来るんですけども、片隅にパーテーションおいて、その中で僕が住んでいるという(笑)。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg すごい(笑)。

20170324_150736957.jpg 奥田さんのスタジオがなかったら、この作品はできてないですね。

*1 バサラ
身分秩序を無視して実力主義的であり、公家や天皇といった名ばかりの時の権威を軽んじて嘲笑・反撥し、奢侈で派手な振る舞いや、粋で華美な服装を好む美意識であり、室町時代初期(南北朝時代)に流行し後の戦国時代における下克上の風潮の萌芽ともなった。from wikipedia





2. 歌詞という言葉

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 私は、水野さん(初演の企画者:水野立子)から声がかかって、布咏さん、飯名さん、との三人で作品やると。

20170324_150736957.jpg この企画の言い出しっぺは、水野さんなんですよ。もともと西松布咏さん(*2)と僕は知り合いで、そこで水野さんが「DancexMusic(*3)」という企画を持っていて、それで水野さんに布咏さんのCDを渡したんです。そうしたら音楽は布咏さんでやってみたいと。水野さんから「布咏さんの江戸唄の様式美と一緒にできる振付家・ダンサーは寺田みさこさんしかいない」ということでキャスティングが決まってきた。そこで3人が集められた。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 私は、はじめ、小唄とか、そういった邦楽とか全然知らなくて・・・。

20170324_150736957.jpg 僕も全然知らなかった。何聞いても同じに聞こえてた(笑)。作品を作り始めた時、選曲会議を布咏さんの稽古場ですることになって、僕は江戸唄(*4)とかちゃんと知らなくて。僕のすぐ目の前で、一曲ずつ布咏さんが生演奏で聞かせてくれるんですよ。それで「飯名さん、この曲、どう思います?」って聞かれる。鍛えられました(笑)。録音して、家帰って一生懸命聞いて。どういう歌詞なのかとか。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 歌詞のある唄ですものね。もちろんバレエでは歌曲を使ったりはしますけども、日本語ではない。なので、何を言ってるのかわからないから、歌詞はほとんど音楽としてしか聞こえないわけです。これまで自分の作品でも、歌詞のある曲というのはアイディアとして出てきてたけれど、敬遠してたところはあった。 ↗︎



20170324_150736957.jpg 歌詞のある曲で踊るというのは難しいんですか?

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 言葉って強いから、やっぱり言葉から逃れたくなる。その言葉を追っかけてしまうと負ける。音楽を使うときは、どうやって入り込んでいくか、差し込んで行けるか、というのを考えてるんです。そこに日本語の歌詞があると、言葉の意味というのが出てきてしまう。演劇を観るときも、言葉を音として聞いてしまっているときがあるんです。でも、布咏さんの唄う江戸唄の歌詞は、日本語としてはわかりにくいわけですよね。

20170324_150736957.jpg そう、江戸唄の歌詞だけ聞いて意味がわかるかというと、そう簡単にはわからない。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 結果的には、アジールの中で唄われる「高尾・もみじ葉」(*5)でも、わかる単語、聞き取れる単語、例えば「煙草」とか。そういうのがいい具合にアクセントとして入ってきて、ふっと身体が反応できる。最後のシーンのように時代設定が曖昧なシーンで、煙草という言葉に、その仕草が入ることで、一瞬だけお客さんと地続きになる。そういう使い方ができる。いい具合に日本語が入ってくる。

20170324_150736957.jpg 初演の頃は、日本語の歌詞に対しての抵抗感ってありましたよね。日本語の唄が入ったときに、ダンスをつくっているのに、言葉に引っ張られてしまう。だったらダンスじゃなくて唄だけでいいじゃん、というような。でも、アジールという作品の中で、聞いてもわからないような言語の歌詞だったら、この作品の物語が伝わるかというと、伝わらないかもしれない。もしあれが外国語の唄だったら、アジールの物語を補完する役割は持てないですから。

*2 西松布咏
西松流家元。独自に江戸唄を発展させ、アジールでは、三味線・唄・語りをする。2010年、群馬県にある縁切寺・満徳寺での西松布咏の演奏を聴いた飯名尚人が、本作アジールを構想した。満徳寺には今も、駆け込み門が残っている。

*3 Dance x Music
ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)が企画した。ダンス作品における音楽の著作権問題を改善すべく、オリジナルの楽曲で、振り付けする企画。ダンサーと音楽家とのコラボレーション。

*3 江戸唄
江戸で流行した三味線伴奏歌曲のこと。長唄・端唄・歌沢など。 from デジタル大辞泉

*4 高尾・もみじ葉
「高尾懺悔」という長唄の一部分。長唄の一つの分類として「めりやす」と呼ばれるもので、舞台効果を高めるために歌われる抒情的長唄と言われる。


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3. 逃げる女と、男の影

20170324_150736957.jpg 演劇的要素が多い作品でもあると思うんです。物語仕立てになってますから。ダンス作品、ということでもないし。じゃあ演劇かと言われると、演劇をやってる感じでもない。物語仕立てにはなってるんですが。

17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg 僕は物語の中にいる登場人物ですよね。役どころとしては演劇的なポジションに居ます。フィクションの男、という役柄なんです。出演者としては演劇作品ということかなと。胡散臭い男、という役。 ↗︎



20170324_150736957.jpg 初演のとき、詩人のヤリタミサコさんが作品評(*5)を書いてくれたんですけど、僕はこの作品は「逃げる女の話」って思って作ってた。そしたら、ヤリタさんは男の存在のことを書いてくれた。それで、アジールは男と女の話なんだと思うようになった。逃げる女の背後には男の存在がある。布咏さんとみさこさんだけで描く女の話ではなくて、男の影というのが出てきたわけですね。

*5 作品評
初演時の作品評・随筆はこちらへ。>>2011年 作品評


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4. 様式と様式のぶつかり合い

20170324_150736957.jpg この作品は、みんなで集まってリハーサルってしないですよね。理由の一つとしては、予算がないだけなんですが(笑)。京都在住の出演者と、東京在住の出演者なんで、経済的事情が元なわけですが。ただ、いつも思うのは、演劇でもなんでも、リハーサルというのがきっかけを合わせる練習みたいになってしまうことが多い。作品のリハーサルというのを、そういう時間にしたくないと思ってるんです。
布咏さんとみさこさんのセッションがありますよね。もしかすると、もっと一緒にリハーサルした方がいいのかな?

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg これは一般的な話なんですが、伝統芸能のもののコラボレーションというとき、伝統というものはあまり変えようがないのかなと思うときがある。そこに不満なこともあるわけです。コラボレーションすることによって、大きく何かを動かそうととしてないのかもしれない、と。そうすると、私のクラシックバレエという西洋ベースの身体と、江戸唄を一緒のお皿に盛ってみる、という。でも、それによって、もっと全然違うものが出てくるようなものを作るには、もっともっと時間をかけて作っていく必要がありますよね。

20170324_150736957.jpg 一方で、既存の様式美のぶつかり合い、というのがありますね。つまり、こういったコラボレーションによって得体の知れない新しいものが出てくる可能性もある、でもただぐちゃぐちゃになっただけ、ということもある。そうすると、ある様式をもったもの同士が、様式を守りつつもぶつかり合う、という、そういうストイックさもあるような。それぞれの芸の極みをぶつけていくというような。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg アジールは、そっちですよね。私もそのつもりでやっているんです。なので、一緒にたくさん稽古して、という作り方ではなくてもいいわけですよね。普段、自分がやってる作品にくらべたら、ものすごく少ないリハーサル数ですから。ありえへんくらいリハーサルが少ない(笑)。様式同士のぶつかり合いというような作り方であれば、お互いの芸のクオリティーはそれぞれが保っていくべきですので、アジールはそういう作り方でいいのかなと思ってます。↗︎



20170324_150736957.jpg どっちがいいのかな、と思うことはあるんです。布咏さんに英語の歌詞で江戸唄うたってもらう、というシーンはあるんだけど、布咏さんにダンスさせて、みさこさんに三味線ひかせて、みたいなそういうダイナミックなことはないわけです(笑)。この「アジール」が、そういうことで成立する作品かどうか。そういうチャレンジで成立していく作品も当然あるわけですが。ジャンルを飛び越えて、得体の知れないものが飛び出てくるような作品。けったいさ、と言いますか。そういうものは、例えば、達ちゃんの役柄だったり、今回は中西レモンのシーンだったり、そういうところでいろいろできるかなと。なんでかというと、この2人は、様式美によって役柄を演じてないところがある。別な何かで成立しています。逆に、布咏さんとみさこは、様式の芸といいますか、二人の持つ様式というものにウットリするものがある。コンテンポラリーダンスの時代になってから、この様式というものはもちろん減ってきてる印象はあって、伝統芸能とぶつけられる現代の身体というのは何かなと思ったときに、様式を持った身体というのは対峙できるように思ったんです。かといって、みさこさんが、バレエをそのまま踊り始めたら、それはちょっと違うわけですね。みさこさんの中にある様式というものがあるから成立してくる。みさこさんが独自に変容させてきた様式。
布咏さんの江戸唄の話を聞いてますと、伝統的な小唄とはまったく違う解釈でやってるんだな、と思うことがある。三味線のフレーズとかも、すごく現代的なものに感じるんです。歌い方もアレンジされているように感じる。きっちり伝統を守ってやっています、というような、伝統の再現ではない音楽。みさこさんも布咏さんも、様式を保ちながらも、ちょっとずつ伝統から意識的にずれていく、というところが似ている。そこで現代の何かに繋がっていく。

  各々が、物語に奉仕する  京都・永運院リハーサルの後、アジールについて。 2011年初演の会場でもある永運院でのリハーサルを終え、 これまでのアジールを振り返りながら、新しいアジールについて語る。  2017.7.4 京都にて

5. 物語を間に挟み込む

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 演劇の物語というのは、一般的には、物語の機微を追いかけることになりますけども、アジールではそういうものはないですよね。でも、大きな流れの中の物語を追いかけている感じがある。それを感じながら目の前で起こっていることを見て、時代や場所を行き来していく。そういう機能としての物語を見せていく作品だなと思っています。ダンスと音楽のセッションが目的という作品ではなくて。なので、私のダンスも、布咏さんの音楽も、達ちゃんの役である男の佇まいも、すべてその物語に奉仕する、という状態。そのつもりでやってます。セッションなんだけど、物語を間に挟みながらセッションしていく。

20170324_150736957.jpg ダンスにおいて「演じる」ってありますか?

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg 「踊る」ということと「演じる」というのは、ちょっとしっくりこないんです。

20170324_150736957.jpg ダンスにおいて、今そこで踊っている人は一体誰なんだ、と。ダンスでそこが「わからない」としてしまうお客さんも多いように思うんですけども、今回のように物語が背景にある場合、ダンスはどういう存在なんでしょうね。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg アジールで、歩いていて振り返る、というシーンがありますね。ああいうときは、例えば「あの映画のあのお婆さんのイメージで」とか、そういうモチーフを使うんですよ。そのあとで、テンポ感とか振り付けができてくると、いざ踊るというとき、何かを演じているかというそうではないんです。このテンポで歩く、ということが見つかったら、ただそのテンポで歩くんです。そういうときには、もう「あの映画のイメージで」とかは一切考えないですし、むしろ考えちゃうと気持ち悪くなっちゃう。逆にそんなものには縛られたくない!ってなる。踊っているときのイメージや感覚というのはそうで、でも、作るときには当然イメージというのがあるわけなんです。↗︎



20170324_150736957.jpg 面白いですね。

17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg 僕はダンスの時は、次にやることしか考えてないです。その場の空気がどう変わるかというような。
アジールのときは、現場で考えていくことがほとんどなのですけども、即興的に何かするということはなくて、やるべきことをきっちりやっていくという感じ。本番でトラブルが起こらない限りは。

20170324_150736957.jpg 今回、中西レモンさんと作っている新しいシーンは、脚本がない。僕の頭の中にある物語とか、そのモチーフとなる歴史の話をレモンさんにして、そこからレモンさんの言葉で作っていく。なので、役者が脚本の中の台詞を覚えるということがない。必要なキーワードは入れていくわけですが。だから、即興のような、そうじゃないような。布咏さんの語りの部分も、土台は布咏さんが考えてきている言葉なので、台本はないわけです。だから、僕は、台詞を噛んだりとか、間違ったり、とかいうことを気にしない。即興なのか、即興じゃないのか、というのが僕もわからない。どこまでアジールの出演者のみんなが即興的にやってるのかとか、わからないんですよね(笑)。みんなが僕の要望でやってるのか、それぞれが好きでやってんのか、わからないときってあるんですよ。だから本番はすごい楽しくて、自分の作品じゃない感じで、リラックスして楽しんで見てるんですよ。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg なるほどねー(笑)。

20170324_150736957.jpg 本番中は、「あとはみんながやっておいてくれている」という感じ。きっかけがズレたとか、そういうシーンがないですもんね。僕は本番中は楽しんで見てますよ。




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6. 内と外の音が交わる場所

20170324_150736957.jpg アジールは、毎回お寺をお借りして上演してますけど、かなり広さとか環境が違いますよね。面白いのは、アジールは秋とか冬に上演されてきましたけど、客席側にいると、達ちゃんが障子を開けたときに冷気というのを肌で感じます。仕組んだような冷気が足元に流れてきます。亡霊というか、ぞくっとするんですよ。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg なるほどー。裏はすごい寒いんですよー(笑)。待ってるときに、羽織るものの裏にカイロ貼ったりとか(笑)。毛布借りたりね。
初演の永運院で上演したときに、外で鐘の音が聞こえてきましたよね、あれはきましたねー。↗︎



20170324_150736957.jpg あれは演出したかのように、外で鐘が、カーン、カーンって鳴って。よかったですよね。木造建築って音がすごいよくて、障子で内と外が区切られてるわけですけど、音の内と外が混じってくるんです。例えば、劇場とかって、場所にもよるでしょうけど、外のノイズって、そのまま外のノイズなわけですけども、アジールの会場で使わせてもらっているような木造の日本家屋というのは、外の雨音や雷の音が、室内の音響になってくる。なので、むしろ外で音がしている、というのはありがたいですよね。障子一枚あるだけで、音が柔なくなったり。こういう効果を劇場で再現しようというと、そうはうまくいかないですよね。布咏さんの三味線も、劇場で演奏するときは、やっぱり多少はマイク通さないと奥まで音が届かないんですけど、アジールのような会場の狭さで演奏すると、直接、その音の響きが耳に入ってきますよね。




7. 得体の知れない存在

20170324_150736957.jpg 今回、中西レモンさんが新しく加わってくれました。 

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg まだ会ったことがないんですよ。

20170324_150736957.jpg 現代って、肩書きをはっきりさせないといけない感じってあって、何者かわからない存在って、なかなか扱われない印象があるんです。何なんだろう、この人っていう。そういう圧倒的な魅力がレモンさんにはあって、本当に何者かわからない(笑)。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg レモンさん、プロフィールではなんて書いてあるんですか?

20170324_150736957.jpg 盆踊りを中心にフィールドワーク、とか。河内音頭とか。何者かわからない人が、何かわからない話をして帰っていく、というシーンにしたいんです。達ちゃんの役どころよりも、もっと曖昧な存在ですね。みさこさんも何かの役を演じているか、というとそうではないですね。すごい昔、唐組のテント芝居を観た時に、すごい面白くて、友達にあらすじを伝えようとしたんだけど、あらすじが言えなかったんですよ。こういう人ができてきて、でも、その後こうなって、とか、断片的なことしか言えなかった。↗︎



でも僕が見たものは確かに物語だったはずなんです。その体験がすごい面白かったし、よかったんです。こういうお話だから面白かったよ、ではなくて、あれ?わからない・・・という。説明しようがない。アジールはこの体験を意識して作ってるところはある。アジールで語られている明確な物語というのは、実はないわけです。誰が主人公というのもないし。何かわからないもの、何者かわからない人たちが、じゃんじゃん登場してくる。

17142117_1848677515411965_1733898248_o.jpg そうですね。

20170324_150736957.jpg なので宣伝が大変で、どういう作品なの?って言われて、なかなかうまく説明できない。
単に「三味線音楽とダンスのセッションの作品ですよ、伝統とコンテンポラリーのコラボですよ」という作品ではないですから。どうもうまく説明できないところがある。

17218499_1236099953142608_6114696915377380174_o.jpg 絡み合っているけど、それぞれが独立しているから、じゃあ全体としては何なのか、と言われると、説明しようがないものですよね。

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アジール 東京公演

2017年10月20日・21日
会場:野沢龍雲寺(世田谷)

早割チケットあります。お早めにご予約ください。

早割30 ------------ 4,000円(各日30席限定)
一般予約 ---------- 4,800円

>>予約方法