STORY

 男との縁を切ってくれるお寺、縁切寺に逃げて来た女。
 逃げて来た女は、男に騙されヒドい目にあった女か、それとも、男を騙して逃げている女なのか、あるいは、吉原の花魁・高尾太夫の亡霊か、絶世の美少女・駒姫の生まれ変わりか・・・ラブストーリーとサスペンス。


解説

文・飯名尚人

 アジールとは「避難所」という意味です。縁切寺・駆け込み寺は、群馬の満徳寺、鎌倉の東慶寺に実在し、女性のアジールでした。駆け込んできた女の髪の毛一本でも寺の敷地に入れば、男はもう手出しをしてはいけないとルールもあったようです。2年間、寺で過ごすと離縁状が書かれ、女性は自由の身に。再出発となるわけです。それぞれの事情が簡潔に書かれた当時の離縁状「三行半」は太田市立縁切寺満徳寺資料館に残されています。

 寺での生活費はもちろん必要で、駆込む女性に寺は生活費の貸し付けをしたりしていたそうです。マザー・テレサが寄付でロールスロイスをもらった時、彼女は乗るのでも売るのでもなく、車を景品にした宝くじを作り、何倍ものお金を集めたという逸話を聞いたことがあります。この「商魂」「生命力」と言いますか「知恵」。これこそ女性の強さ。「そんなこと言ったって、生きていくにはお金もかかるのよ。」そんなことを思いながら、本作では幾つかの時代の逃げる女を描くことになりました。

 縁切寺に逃げ込む女、吉原・高尾太夫の伝説、何者かから必死に逃げる現代の女。過去と現在が混じり合い、いつの間にか物語の中に皆様を誘います。西松布咏の奥深い江戸唄と演奏。寺田みさこは様々な化身となって踊る。障子には私(飯名尚人)の映画が映し出され、さらなる幻想世界が浮かび上がります。寺男、チンピラ、ヒモ、詐欺師、様々な「男」を今村達紀がミステリアスに演じ、今回は新たに中西レモンを加え、京都での「駒姫」の物語も上演。豊臣秀次の切腹事件に翻弄された絶世の美少女・駒姫のアジールとは?物語は江戸の隅田川、京都の鴨川、時代も行ったり来たり。駒姫のお墓は、京都・木屋町の入り口、瑞泉寺にあります。煙のように現れては消える、女たちの物語。

 西松布咏の唄う江戸唄は、吉原の遊女の気持ちを唄ったもの。遊女は「嘘とまこと」を巧みに使って、一夜の楽しみを演出してきたようです。演じられたラブソング。男と女が集まれば、いつの時代もラブソングが流れ、サスペンスの匂いがする。







これまでの公演|2013年




これまでの公演|2011年